最近顎関節という字を目にすることが増えていませんか。
TMJとも呼ばれています。
アゴの関節は普通の関節とは違う動きをするので、少々複雑になっています。
耳の穴に指を入れて、指を前方の方に当てて、アゴの関節をゆっくり動かすと関節が動くのがよくわかります。
ちょうど上顎と下顎のつながった部分が手に触れています。
食事をしたり、話をしたりするときに動くアゴの動きは絶妙のコントロールの元に動いています。
このバランスが崩れるときに問題が出てくるようになります。
問題となる筋肉も原因もいろいろあるので、一つだけが問題というわけではありません。
今回は顎関節と肩こりの関係について書いてみたいと思います。
肩こりからアゴの関節にまで影響があるんでしょうか。
肩から首と顎関節は非常に密接な関係があります。30万人の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私がご説明しましょう。
かみ合わせと肩こり
アゴの動きは歯のかみ合わせ、アゴの関節、筋肉や神経が密接に関係しながら動いています。
とても微妙なバランスなので、一つでもおかしくなると大きな影響が出るようになります。
通常の症状は痛みや口が開かないこと、口の開閉の際に音が鳴るような症状が出ます。
肩こりや頭痛を訴える人もあります。
顎関節の問題は基本的に、姿勢不良とストレスによる筋肉のアンバランスです。
頭蓋骨と下顎骨は筋肉によってつながっています。
下顎骨は舌骨を経て筋肉で肩帯につながっています。
筋肉によって絶妙なバランスが保たれているのです。
そのおかげでしゃべったり、食べ物を食べたりするときに頭を安定させたままでいることが可能になっています。
ところが長い間前屈みになって頚部の筋肉と頭蓋骨と肩帯をつなげる筋肉がバランスを取ることが出来ないと顎関節の筋肉に過剰な緊張が出来るようになります。
また頬づえをつく姿勢や片噛みの習慣などは左右の筋肉がバランスがとれなくなり、顎関節を動かす筋肉に過剰な緊張を生むようになります。
ストレスがあるときに寝ているときでも歯を食いしばっているようになります。
このようなときにすでに筋肉がアンバランスになっていると左右の顎関節が不均衡にストレスを受けることによって、筋肉が痛みや動きの異常を作るようになるのです。
自分では何の影響もないと思うようなことが問題の原因になるんですね。
ストレスがあるといろんなことが問題になるようになりますね。
顎関節の影響
大脳の感覚領域のうち、顎関節が占める割合は非常に大きいものです。
カナダの脳外科医のペンフィールドによって発見された脳地図をホモンクルスと呼びます。
脳の特定の箇所に刺激を与えることで、脳の中のどの領域が仁多のどの部分を司っているかを調べて、身体の部分が脳でどれくらいの表面積を占めているかを表したものです。
顎関節の領域は非常に大きくなっていて、その影響の大きさを表しています。
ものを食べることは生存に欠かせないために、領域も大きいわけです。
実際に歯に小さな肉片が挟まってもものすごく気になることがありますが、そのせいです。
顎関節の問題の原因
顎関節の問題はほとんどかみ合わせと思われていたところがあります。
もちろんかみ合わせが悪ければ、かみしめるためにストレスがかかるので、良くないのは明らかです。
しかし、ライフスタイルや姿勢習慣の影響はもっと大きいものです。
いつもスマホをのぞき込むような姿勢、頬づえをつく姿勢、肘をついて横になってテレビを見る姿勢、コンピューターをアゴを突き出すように見続ける姿勢、片噛み習慣など、筋肉のアンバランスを作る習慣があります。
こんな習慣を続けていると肩こりが起きてくるようになります。
肩こりがあるような状況に睡眠不足や過労やストレスが続くと筋肉が過緊張になってアンバランスを生みます。
そのために顎関節に負担がかかることになるのです。
要は身体が戦闘状態になっていて、リラックスできず、姿勢も悪いために過剰な負荷が顎関節にかかるのです。
こんな時には歯ぎしりや歯を食いしばっているような習慣も多く、それこそがストレスがかかっている証拠です。
日頃の姿勢を注意することやストレスをためないようにすることも大切なんですね。
顎関節の問題の確認方法
フィンガーテスト
口を開いて縦に並べた状態で指を4本入れることが出来るなら問題はありません。
もしそれより少ない指しか入らないとすれば、顎関節の問題があります。
動きチェック
左右の耳の穴に正面向けに人差し指をいれます。
そのままゆっくりと口を開きます。
この際に左右の動きが違ったり、「ガクッ」とか「ポキッ」となる場合には顎関節のバランスが狂っています。
特に音が鳴る場合には気になると思いますが、わざと音を鳴らして確認すると椎間板が傷むので注意が必要です。
頬の筋のチェック
指で頬を口の中と外で挟んでみます。
軽くマッサージするようにすると問題がある場合には痛みを感じます。
顎関節から肩こりが出ているときに
顎関節も肩こりも姿勢習慣が悪く、ストレスが強くなるときに悪化します。
そんな時には悪循環がドンドン出来てくるようになります。
痛みや緊張自体がストレスとなるからです。
自分で姿勢を改善しようと思ってもなかなか改善することが出来ません。
筋肉も硬化していて背骨の柔軟性がなくなり、自分で姿勢を改善することが出来なくなっているからです。
カイロプラクティックはこのようなときに柔軟性を取り戻すのを助けます。
関節異常であるサブラクセーションを取り除くことによって神経の流れが改善し、筋肉のバランスがとれるようになり、柔軟性が改善します。
その結果として姿勢が改善します。
姿勢が改善するとそれだけでも顎関節のバランスがとれることもあり、症状が改善することもあります。
重症の問題の場合には、顎関節に関連する個別の筋肉のバランスを取ることが必要になりますが、熟練した国際基準のカイロプラクターならそれが出来るでしょう。
合わせて、ライフスタイルや姿勢習慣のアドバイスをもらうことで、肩こりや顎関節の問題が起こりにくくなります。
生活を変えなければ、問題がまた復活することもあるのですから。
Rさんは肩こりがひどく、首から上肢にかけて痛みが出るようになって来院。
芝刈りをしてからアゴの痛みが出て口が開けられなくなりました。
引っ越しをされて、生活のリズムも変わり、仕事も職員が辞められて、忙しくなっておられるときでした。
姿勢は、畳の生活になって、あぐらを組むことが増え、背中を丸くして座っておられることが増えたそうです。
コンピューターを使われることも結構あり、そのときの姿勢は良くないと言われました。
生活が変わったので、リズムも変わって、まだ慣れていないと言われました。そのためか睡眠も熟睡が出来ておらず、歯を食いしばっていることが多いと話されました。
姿勢は前屈み気味の姿勢が習慣化しており、頚椎の可動域も減っていました。
背骨の柔軟性もなくなり、背中や首の筋肉も硬化していました。
カイロプラクティックの施術で柔軟性を取り戻すようにしました。
頚椎のカーブを回復する体操をしてもらい、胸を張る体操も合わせてしていただきました。
生活では一つ椅子を購入して、その上で生活されるようにお勧めしました。
コンピューターを使われるときの姿勢をお教えして、付箋をモニターに貼っておいて、見る度に姿勢に気をつけるよう勧めました。
熱心に体操や姿勢の習慣改善に努められたので、加速度的に改善が出ました。
姿勢が良くなるとアゴの痛みは出なくなって、食いしばることも少なくなったと話されるようになりました。
生活の変化によるストレスや不良姿勢習慣の結果肩こりや顎関節の問題が起きているケースでした。
こういう場合に、姿勢を改善することなく、症状が改善することはありません。
姿勢を考えることは極めて大切なことになります。
まとめ
顎関節の問題はとても辛いものです。
肩こりがあるような生活を続けているとそんな辛い思いをすることにもなるのです。
姿勢を改善して、ストレスを解消するようにすることが非常に重要であると覚えておいていただきたいと思います。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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