あなたはほとんどの空き時間をトレ−ニングに費やしているでしょう。
仕事、家庭生活、社会生活をジャグリングのように扱っているかもしれません。
バイクに乗るのは寝るのと同じように当たり前かもしれません。
しかし、朝は起きにくくなり、日中は疲れているかもしれません。
トレ−ニングは以前ほどエネルギ−を与えてくれなくなっています。
前よりイライラしているかもしれません。
少し太ったかもしれないし、それは最近お腹が空きすぎるからと感じているかもしれません。
半年の間に4回も風邪をひいたかもしれません。
良く眠れるのだけは変わらないかもしれません。
幸運にも怪我がなくてねとトレ−ニングパ−トナ−にいっているかもしれません。
あなたはすでに怪我をしている
このような皆さんは実は怪我しているのです。
もちろんそれはいわゆる力学的な問題(構造的な問題)という意味ではありません。
力学的な問題というのは構造的な問題があって起こってくるものです。
ここではケミカル型の問題について説明しましょう。
ケミカル型の問題は力学的な問題のようには痛みを生みません。
なかには痛みを伴うような炎症の症状があることもあります。
しかしそれよりももっと多く見られるのは疲労です。
疲労が問題の原因ということもあるし、疲労が他の症状を産み出すこともあります。
良く聞く症状
最初の部分で行ったようにアスリ−トが良く訴える症状を見てみましょう。
疲労、いらいら、体重増加と食欲増進、風邪、不眠などです。
西洋医学ははっきりとした症状を鑑別します。
たとえば問題が貧血、感染症、もっと重い病気などです。
これらは血液検査や適切な身体検査をすれば分かります。
しかし、検査結果が正常とでると、なにも病気がないことになってしまいます。
西洋医学で正常と言われたら代替医療を考慮に入れたほうがよいでしょう。
西洋医学では病気だけを扱うからです。
慢性疲労
このケ−スをまとめてみましょう。
彼のライフスタイルが原因でたくさんの症状を訴えていたとすると、良く見られる原因とその影響について考えてみましょう。
もしスケジュ−ルが原因とすれば、(トレ−ニングスケジュ−ルだけでなく、生活全般にわたったもの)生活のなかに余りに多くのことが詰め込まれているということが原因です。
鍵となる言葉は“ジャグリングのように”と言う言葉です。
このアスリ−トはやること(トレ−ニングも含めて)が多すぎるからです。
多くの人にとって、自分のからだが適切にはたらき、回復できる範囲を超えていることが余りにも多くみられます。
時間が経つにつれて問題が積み重なっていきます。
ぴったりくる言葉は“ストレス”。
体はこのようなストレスすべてに適応するシステムをもっています。
腎臓の上にあって比較的小さな臓器を副腎と呼び、アスリ−トのハ−ドスケジュ−ルにはとても重要なものです。
副腎は血糖や栄養素(電解質など)のコントロ−ルやとりわけ重要なのがストレスのコントロ−ルすることです。
予備エネルギ−貯蔵タンクであり、回復を助ける働きをしています。
研究者だったハンスセリエは、どのようなストレスであっても副腎に影響を及ぼすと言う事を示しました。
ストレスがコントロ−ルできなければ(多すぎて手に負えない)様々な症状が数珠つなぎにやってくるようになります。
先ほど挙げたようなアスリ−トが訴えたように。
慢性疲労は中でももっとも良く見受けられる症状です。
障害のメカニズム
このケ−スについて分かりやすく解説してみましょう。
おそらくはじめなにかのレ−スで勝ったかもしれません。
そのためにトレ−ニングを増やしたかもしれません。
疑いなくトレ−ニングの時間だけでなく、強度も上がったはずです。
食事をかきこみ、家から仕事に急ぎ、仕事からトレ−ニング、トレ−ニングから家へとまた急ぐような生活です。
最初はストレスが増しても副腎はうまく対応してくれます。
もちろんそれが副腎の仕事ですから。
しかし、それが続くと仕事、家庭生活、社会生活ともに悪循環をおこすようになります。
トレ−ニングやレ−スはもっと速くなっていき、ぺ−スについていけなくなります。
すぐに時間がなくなり、しなければならないことに費やす時間がなくなり、回復が出来なくなります。
スケジュ−ルを守ろうとすればするほど副腎はストレスを効果的にコントロ−ル出来なくなるのです。
この段階までくると回復はストップしてしまいます。
副腎がうまく働かなくなると体を維持するための機能も段々低下してきます。
血糖値は不安定になり、そのことによりもっと疲労の症状を作りだすようになります。
脳から血糖が奪われるとますます甘いものがほしくなってきます。
脳だけが血糖の増減に敏感なのではなく、神経系は全て敏感です。
そうなるといらいらがおこってきます。
副腎は他のホルモンにも影響を及ぼすためアスリ−トとしての代謝は低下してしまうようになります。
このことに伴いエネルギ−源が変わります。
より糖質を利用することが多くなり、脂肪を利用することが少なくなります。
そのことにより脂肪が皮下に蓄積し、持久力も低下してしまいます。
こうなってくるとトレ−ニングでは余計に一生懸命にならなければならなくなります。
競技の結果はますます不満足な結果になります。
必ず空腹感は増し、疲労はひどくなります。
過度の副腎のストレスは免疫機構を低下させるようになります。
身体の防衛機構が低下すると、風邪や感冒、アレルギ−までも起こってきます。
そして疲労は過労に変わり、夕方早くからうつらうつらすることが多くなります。
副腎へのストレスが多くなると分泌過多になるものにコ−チゾルがありますが、そのため夜中に目が覚めて今度は眠れなくなります。
解決策
まずは最初に原因になった問題を改善しければならなりません。
多くの施術が症状の緩和には役立っても、本当の原因を解決しなければ根本からの改善にはなりません。
ここでお話したいのは症状があくまでサインでしかないということで、その元にある原因を明らかにしなければならないということです。
例えば、選手に免疫機構のためにビタミンAを与え、副腎のために亜鉛といった栄養素を与えることもできます。
しかし、生活からのストレス(これがもともとのストレスの原因だったのだが)を緩和させるように整えなければ、またその人の化学的な部分にアンバランスが起きて、同じような症状か新しい症状が起きてくるのです。
まとめ
これはケミカルによるアスリ−トの典型的障害です。
最初はただ知らないうちに忙しくなり、その結果化学的に副腎に過剰な負荷がかかり副腎が抑制されるようになります。
そして結果的に疲労、空腹感、いらいら、風邪といった症状が続くようになります。
しかしある人にとってよくあるケミカルの問題は二次的に力学的症状を起こすようになります。
原因は異なるが構造的な問題の症状を持つようになります。
不幸なことにこれらに症状はそれがはっきりした症状であるために原因であると見られることが多いのです。
(これは化学的ストレスに対して神経系が補おうとする症状)これは、なぜ多くの施術が効果がないのかという理由であり、それは本当の問題が見つけられないからなのです。
今まで取り上げたケ−スでは原因はライフスタイルであり、それが副腎に及ぼす影響です。
さらに不幸なことにはケミカル型の障害は精神的な問題にも影響を及ぼすようになることです。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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