腰が痛い人が非常な勢いで増えています。
現代の医学検査でわからないために心因性の腰痛などと言われたりします。
つまり心が弱いので腰が痛くなるというのです。
腰痛は病といえるでしょうか?
身体は非常に懸命な存在ですから、突然に病になりません。
通常身体は何らかの問題への適応しようとした現象を私たちが病と呼んでいます。
ギックリ腰は辛いものの一つです。
歩くことが出来ず、這って動こうとされる方もおられます。
出来ることがあれば何でもしたいと思われることでしょう。
そう思われる方がギックリ腰の時に楽な体勢が実は問題を作るのだと聞かれれば驚かれることでしょう。
今回はギックリ腰と楽な体勢の関係について話してみたいと思います。
楽な体勢がギックリ腰と関係があるのでしょうか?
30万人の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私が解説しましょう。
ギックリ腰とは
ドイツ語では「魔女の一撃」とも言われる、激痛を伴う急性の腰痛をギックリ腰と呼んでいます。
多くの場合に重いものを持とうとしたり、身体をひねったり、かがんだりしたときに起こることが多いものです。
インターネットなどでは
「原因が認められない突発性の腰痛。
習慣性になって繰り返しやすいので、最初に起こしたときに、十分に回復するように心がける必要がある」
と書かれています。
実はこれは姿勢という観点を持っていないために起こります。
姿勢が問題であれば、姿勢を改めない限り、何度でも起こってしまいます。
だから習慣性があると言われるのですが、習慣性があると言うよりはむしろギックリ腰になりやすい習慣を持っているといった方が適切だと思います。
問題となる姿勢習慣があるためにそれを改めないのでギックリ腰を繰り返すのです。
ギックリ腰が習慣になっているというわけでは無いんですね。
ギックリ腰で楽な体勢
ギックリ腰になるときには右側に向かっての側弯ができていることがよくあります。
大方の人に出来ています。うつ伏せに寝てもらうと踵の位置が左右で1cmくらい違っています。
身体もまっすぐではなく曲がっています。
側弯があって骨盤の上がり下がりがあるために足が見かけ上短く見えるだけで、実際が短くなっているわけではありません。
こんな身体になるのは、右利きが多いという特徴のせいです。
右利きであるために無意識の行動や姿勢がたくさんあるからです。
靴を履くときも右から、ボールを蹴るときも右から、スラックスをはくのも右からという方がとても多いでしょう。
自然と右側に腰を寄せるような姿勢になっています。
身体に側弯ができているときに、自分なりに楽に感じる姿勢というのは右側のお尻に体重の乗った姿勢なのです。
肘掛けがあれば右側に寄りかかりたくなるでしょう。
背筋を伸ばした良い姿勢だと足を組めないものです。
右が上でも左足が上でも右側のお尻に体重をのせているはずです。
横になって頭を支えるために肘をついてテレビを見る姿勢も右下になって、右手で頭を支える方が楽なはずです。
これも右に側弯の出る姿勢なのです。
ほかにも右肩にショルダーバッグをかける姿勢や勉強でノートを取るとるときに右に側弯が出るように座っているはずです。
こういう姿勢を長い間、長年していると脊柱の周りに筋肉や靱帯がそれに合わせて、変化してしまいます。
そのために背中が余計に右側弯になるような姿勢が楽になっていくのです。
反対側っていうのはやりにくいので、なぜだろうと思っていました。
ギックリ腰で楽な体勢が危険とは
こういう姿勢習慣を長年続けているといつか必ず、腰が痛くなる時がやってくるのです。
自分が楽な姿勢が実は問題を着実に悪化させて作り上げていくのです。
しかも本人はそれが楽な姿勢なので、それが最も危険な姿勢であるとは夢にも思われないのです。
横寝で肘をついてテレビを見る姿勢など、逆に自分がリラックスできていると誤解さえしてしまうことがあるのです。
良い姿勢というのは身体が最も効率的に働くことの出来る状態です。
側弯ができているような状態では、呼吸も浅くなりますし、ピサの斜塔のようなもので、バランスを取るのに余計な筋肉の力を使う必要があり、バランスを取るのが非常に難しいのです。
そのためにコンスタントに片側に負荷をかけてしまうことになるのです。
しかもその負荷を反対側に変えることができないのです。
ギックリ腰になったらすべきこと
まず自分でどうなっているかチェックしてみましょう。
(裸で全身を大きな鏡に映してみましょう。)
腰のくびれが左右で違っていませんか?
おへその位置が鼻の真下にありますか?
側屈してみると右に曲げるときに曲げにくさを感じませんか?
就寝するときに右を下にして寝る習慣がありませんか?
もしこの質問が当てはまるなら、あなたは立派な右側弯があり、腰痛予備軍といってよいでしょう。
この側弯を改善することが腰痛にまたならないようにするために重要なことです。
みんな当てはまりますね。
それなら今のうちに姿勢習慣を正すことが必要ですね。
矯正体操
右側弯を改善するための矯正体操です。
最初はやり辛くて脇腹が引っ張るような感じがあるかも知れませんが、続けていると無くなってくるでしょう。
両足を肩幅に開いて立ちます。
右手で骨盤のすぐ上に手を置きます。
左手を挙げて息を吐きながら右手をてこに右への側屈をゆっくりします。
10回を3分ぐらいかけるつもりでゆっくり行います。 1日に3回は行います。
前に曲がったり後ろに反ったりしないようにしましょう。
一度に30回も40回も行うよりは、分けて3回する方が効果的です。
- まれに左側弯の方がありますから、もしチェックしてじぶんに当てはまらなければ確実に確認してください。
カイロプラクティックと平行して行うと非常に早く改善するでしょう。
Sさんはしゃがんでいて立ち上がろうとしたときに腰が急に痛みました。
結構辛い腰痛で、動くとすごく痛みを感じました。
しばらく様子を見たけど良くならないので来院されました。
採用試験に受かって一年目で、緊張の連続、準備が追いつかないので夜遅くまで準備していたそうです。
腰の痛みは右側にありました。
立ったり座ったりの度に痛み、寝ていて起き上がるときに痛いといわれます。
また上体の曲げ伸ばしが痛みのために不自由だと言われました。
右を下にして横寝をするのが楽で、仰向けにはとても眠れないと言われました。
悪くなる前は足を組む癖があって、座っているときにはいつも足を組んでおられました。
車を運転するときも右側に寄りかかって運転しているとはなされました。
腰椎を見ると側弯ができていて、右の起立筋が過剰に緊張していました。
寝姿も逆「く」の字になっていました。
カイロプラクティックの施術で身体の歪みをとり、柔軟性を回復するようにしました。
姿勢習慣についてのアドバイスをして、身体の歪みが回復するような体操をしてもらいました。
睡眠をしっかり取るように勧めて、時間を取って睡眠を取られるようになりました。
休息を十分に取られるようになって、身体の調子が良くなったら、準備がもっと短時間で出来るようになって、心も楽になりましたと話されるようになりました。
腰椎に側弯ができているケースでした。
側弯が起きている時の典型的なケースで、右利きの人に多いパターンでした。
姿勢について理解できなければ、原因を改められないので、改善が難しいところでした。
幸いにも身体が改善してくるといろいろなことが改善するという理想的な状態でした。
まとめ
ギックリ腰になるにはなる理由があります。
その理由を突き止めることが、本当の健康を手に入れる早道です。
理由を突き止めたらそれを改善するために努力することです。
そうすると腰痛知らずの身体を手に入れることになるでしょう。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
コメント