腰の問題がひどくなって、手術をしたら楽になれるだろうと思う人はたくさんおられます。
手術は問題のあるところを取り去ったり固定したりするのだから、楽になるだろうと思われるのは無理ありません。
しかし、いかに熟練の先生であっても、手術は100%成功はないものです。
手術を考えられるときには、問題が解決することだけが頭にあるために、ほかのことは考えられなくなっていることも多くあります。
時には手術はしなければならないです。
でも、そんな症状が出るまでに、何らかの手を打つことによって手術を回避できるなら、それに越したことはありません。
手術についてよく理解し、その利点と欠点も知った上で、考慮することをお勧めします。
手術して早く良くなればそれが良いと思います。
30万人の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私がご説明しましょう。
腰の手術はお金がかかる
腰の手術は、簡単なものではありません。
皮膚を開いて、軟部組織を取り除き、問題の箇所を削り取ったり、ナット・ボルトで固定したりします。
言葉で言うのは簡単ですが、血管もあれば、小さな神経も走っているため、非常に慎重を要するものです。
もちろん麻酔をして、手術をするわけですから、安いわけではありません。
部位や状況によっても値段も違いますが、腰部の手術は平均で73万ぐらいかかっているというデーターがあります。
平均で18日くらいの入院期間があります。
ですから、18日間は少なくとも仕事が出来ないのも考慮する必要があります。
そう考えると非常に高価な手術なのです。
もちろん、高額療育費制度が利用できれば、10%強ですむことになりますが、それでも効果です。
一時的には立て替えが必要になるのは痛いですね。
仕事も休む必要があるのは痛いですね。
腰の手術で改善するの?
一番問題になるのは、改善するかという点です。
多くの病院では手術の成功率を公表しています。
大概の場合はかなりいい成績が載っています。
昔は、腰の問題で重症なら、非常に早く手術を決断されました。
最近では、保存療法を試した後で、効果がなくて希望される場合には手術をします。
昔と比べればずっと慎重にされるようになった印象です。
手術に限らず、すべての施術には3つの結果が存在します。
改善、同じ、悪化の3つです。
改善であれば、もちろんよいのですが、変わらない、ないしは悪化する場合があるのです。
もちろん、入院している間はよかったけれども、退院したら悪くなったという場合もあるため、正確な成功率をいうのは難しいでしょう。
4%〜15%が再発率と言われていますが、再発していても手術に至らなければ、再発とカウントしてないために、実際にはもっと高いと考えた方がいいでしょう。
単純には改善があったといえないのがお分かりになるでしょう。
どの点で調べたかによって改善にも、悪化にもなる可能性があるのです。
手術をすると解決というわけではないですね。
腰の手術を勧めたくない理由
私が大学で学んだときにはMRIで椎間板に問題が認められたら、それが確定診断とされていました。
しかし、現在ではMRIは確定診断にならないとされているばかりか、症状が問題部位の神経支配の症状と一致するとき確定診断になるとされています。
しかし、臨床をしてみるとよくわかりますが、教科書的なサインがある例は少ないです。
多くの場合クリアーに症状が出ているのではなく、いくつかの神経の部位に重なりがあるような形の症状になっていることが多くあります。
そうすると診断が難しいわけです。
もちろん、下肢の重度の麻痺症状(筋力と知覚の低下)や汎用や排便のコントロールが出来なかったりするような膀胱や直腸の問題を伴う場合には手術が考慮されます。
しかし、そうでなければ保存療法(手術以外の手段)で改善する人も多くあるため、手術が解決策と最初から思わない方がいいといえます。
どうしても改善が見られず、生活の質が非常に落ちていく可能性がある場合の、最後の選択肢と思われるべきだと思います。
医学ではきちんとわかっているものだと思っていました。そうではないんですね。
腰の手術はリスクがある?
もちろんリスクがあります。
神経は非常にデリケートで少し刺激をしても麻痺を起こすことがあります。
そのために医師の方々は研鑽されているわけですが、はじめから熟練しておられるわけではありません。
硬膜の損傷や傷の感染症、傷口に出血が止まらない場合や薬によって肝機能や腎機能が障害を受けることもあります。
手術につきものの血栓症を起こすこともあります。
決して恐れさせるために書いているわけではないのですが、余りに多くの人が手術は手軽な解決策と考えておられることを心配しています。
ほとんどの医師の方が、術後の改善を予測できません。
圧迫がとれた後修復する力が残っていれば、症状も軽減するでしょう。
しかし障害を受けた神経が回復できないと後遺症として残ることになります。
痛みは比較的軽くなることが多いですが、しびれは残ることが多くあります。
こういうことを考慮した上で、やはり手術をと考えられるなら後悔のない選択といえるでしょう。
リスクがあるんですね。
手術の前にカイロプラクティックを進める理由
腰の保存療法の可能性がないというときに手術を考えられる訳です。
腰の保存療法には、薬物療法、ブロック注射、リハビリ、腰痛体操が考えられます。
薬物療法は非常によく使われますが、椎間板の軟骨再生を妨げる働きもあり、改善を目指しながら、逆のことをしていることになる場合が多くあります。
ブロック注射も軽度の時には劇的に効くことがありますが、重症の時には余り長く持ちません。
リハビリや腰椎体操も慢性期においてはよく使われますが、急性期にはあまり効果がありません。
経験的に椎間板の問題といわれていた患者さんが、そうではないケースもよく見受けられます。
仙腸関節の問題であることも非常に多くあります。
こういう問題の場合に椎間板の問題によく似たサインが出ます。
しかし、仙腸関節の調整することで改善する方も多く見られます。
そのために、まず、カイロプラクティックを試してみてほしいと思います。
もちろんカイロプラクティックはなんでもOKというわけではありません。
リスクを冒す前に試す価値は十分にあるといえるでしょう。
53歳会社経営男性Yさんのケース
Yさんは建築資材を販売する会社の社長。
従業員の休みが続いて、現場が人手が足りず、昔やっていたからと建築資材を運ばれました。
1週間も続けるうちに、明らかに腰が痛くなり、下肢にも症状が出てどうにも我慢できなくなりました。
手術したら早くよくなるだろうと考えられたYさんは、手術をお願いされて、手術を受けられました。
しばらくはよかったのですが、また少し現場を手伝った途端に同じような症状が出ました。
慌てて病院に行くと椎間板の問題だといわれて、手術を考えますからと尋ねられました。
すぐによくなりたいと思ったYさんは手術をお願いされました。
退院したYさんは、リハビリの体操を一生懸命にやりました。
3週間特に腹筋の体操をしたところ、今度は首の痛みと腕のしびれが出始めました。
検診にいくと首の椎間板の問題といわれました。
病室が開かないので、1ヶ月自宅で待機といわれました。
そこでYさんなんとかしたいと来院されました。
検査をしてみると整形外科テストや神経学テストには余り際立ったものが見られず、関節の動きには悪いところがありました。
カイロプラクティックの施術をすると少しずつ改善しました。
1ヶ月後病院から電話がかかる頃には、症状がなくなっていました。
その旨を伝えると「あれだけの問題がよくなるわけがない。入院して経過観察しましょう。」といわれました。
1ヶ月経っても症状は出ず、「あなたラッキーだったな。」といわれ退院されました。
手術が解決にならなかった症例です。
おまけに3ヶ月の間に3回も椎間板の問題が起こった方は今までほかにありません。
手術には慎重になられた方がよいという理由がお分かりになったと思います。
まとめ
腰の問題があるときに手術が解決になると思われる方は多くあります。
しかし、私たちが期待するほど手術は万能ではありません。
皆さんの周りにも再発された方がおられることと思います。
腰の問題が出たら、カイロプラクティックを試してみましょう。
あなたにとっての解決になるかもしれません。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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