ウォーミングアップをあまり重要視しない人は、アスリートの中に非常に多くみられます。
特に社会人アスリートたちは、ただでささえ限られた練習時間を有意義に使おうと、2〜3分軽くストレッチなどをするだけで、いきなり走り出してしまうケースがよくみられます。
そして練習時間ぎりぎりまで走り、後は即終了。
クールダウンまでがトレーニングと考えていない人は多いようです。
この記事では、ウォーミングアップの効果や方法をお伝えします。
ウォーミングアップは大切です
また、ウォ−ムアップはストレッチのことだと思っている人も多いですが、これは正しくありません。
ストレッチは短距離タイプ(瞬発系)のトレーニングでは非常に大切です。
関節の可動域がタイムに影響するからです。
ストレッチは持久系のトレーニングではあまり重要でないばかりか、害になってしまう場合さえあります
持久系アスリートに必要なウォ−ムアップは筋肉、臓器、他の器官への血流を変化させることです。
安全にトレーニングするために、まずはゆっくりと、これから使う筋肉に血液を送りこんでやることです。
なぜなら血液循環の観点からいえば、休息の反対がトレーニングということになるからです。
休息しているとき、血液の多くは臓器に集まっています。
そしてトレーニングを始めると、身体の臓器の血液循環の半分以上が、働いている筋肉に向かうようになります。
運動時の筋肉はすぐに多くの酸素や栄養を必要とするようになり、老廃物を速やかに取り除かなければならないからです。
特にエアロビック(有酸素系)筋は毛細血管が多く、血流はこのエアロビック筋で必要になります。
このときに、脂肪の循環も増え、それがエネルギー源となってエアロビック筋が使えるようになるのです。
さらに、アネロビック(無酸素系)のトレーニングをしている時には80%以上の血液が筋肉に行くことになってしまいます。
いずれにせよ、こういった血液のシフトが急に起こると、身体に非常に大きなストレスがかかり、スポーツ障害のきっかけになってしまうのです。
シャツやシューズを身につけるのと同じ感覚で
これはトレーニングの終了時にも同じことがいえます。
運動をやめると、筋肉に行っていた血液は、また臓器などに戻って行きます。
しかし、急に動くのをやめると、今度は臓器に戻る血流のストレスが増大し、身体に大きな負担をかけることになります。
そこで『運動時の強度とタイミング』が重要になってくるのです。
筋肉や臓器にゆっくりと血液をシフトし、ストレスを軽減させてやるために、ゆっくりクールダウンを入れてやります。
これができると代謝系や神経系などは、十分にバランスがとれるようになるのです。
具体的なウォーミングアップ、クールダウンの内容は、ジョギングなどとにかく低い心拍数で行う軽い運動でいいです。
あまりフィットネスレベルが高くない人なら、ウォーキングからで十分です。
ハートレートモニターをチェック
さて、このウォームアップ、クールダウンに役立つのがハートレートモニターです。
もしあなたが、最大エアロビック心拍数140(130〜140/がターゲットゾーン)のエアロビックトレーニングを1時間行うとしましょう。
スタート前の心拍数が60とすると、70、80、90と、10拍刻みを目安に徐々に心拍数を上げ、15分前後をかけて140拍に達するようにしましょう。
そして30分をエアロビックゾーンで行い、最後の15分をクールダウンに費やせば理想的です。
もし90分以上トレーニングするなら、さらにアップを入念に20分ぐらいを目安にするといいです。
また、ウォームアップは身体の必要に応じて変えていかなければなりません。
きちんとウォームアップする習慣がつくと、たとえトレーニング時間が短くてもアップにかける時間がもっと必要になる場合があるのです。
自分が15分以下のウォームアップでよいなどと間違っても思わないようにしましょう。
ウォームアップは、練習前にシャツを着たり、シュ−ズをはいたりして準備をするのと同じように、身体の機能を運動のために準備させること。
決して皆さんは、裸足や裸で外に走り出ていかないでしょう。
それと同じことです。
ウォ−ムアップ
トレ−ニングを始める前に徐々に心拍数を挙げていくことが大切。
12〜15分は少なくとも費やすべき。
場合によっては20分。
その段階を経て、始めてより強度の強い運動をすべき。
ク−ルダウン
トレ−ニングの最後12〜15分も同様に大切。
筋肉に血液を溜めてしまうことなく、ゆっくりと平常時の循環を回復することが重要になる。
これは、ゆっくりと心拍数を元に戻していくことが一番簡単なアプローチといえる。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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