腰痛になることはうれしくないことの一つです。
腰が悪くなったときにはいろいろなことが気になるようになります。
家事の仕方や仕事の仕方、椅子の座り方や床の座り方、寝るときの姿勢など、普段であれば全く気にしないようなことをまで気にかかるようになります。
特に腰痛になったときに床に座るときには皆さんが困られます。
座って立ち上がろうとすると腰が痛くて辛くなるからです。
お座敷の飲み会や女子会などは腰の悪い方がいやだといわれるものの一つです。
そのために座る姿勢について尋ねられることもとてもよくあります。
今回は腰痛と正座の関係について考えてみたいと思います。
正座は腰痛に良いと効いたことがあるのですが、正しいでしょうか?
30万人の施術実績の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私がご説明しましょう。
腰痛の難しいところ
腰痛は、様々な腰痛があるという点が難しいところです。
良くテレビや雑誌で、「こういう体操が良い」とか、「こういうストレッチをしましょう」と言われることがあります。
しかし、限られた誌面や時間ですべてに当てはまることを伝えることはとても難しいものです。
そのため、無理矢理にシンプルにしたものもあります。
つまり無理があるのです。
腰痛になる腰つきも、腰椎に側弯ができている人があり、後弯が出来ている人があり、過前弯が出来ている人もあります。
しかし、これらは一部の分類です。
側弯ができている人に当てはまるように側弯を改善するようなことをお話ししても、後弯や過前弯が出来ている人には全く当てはまらないのです。
だから、一概にこの座り方が良いですよと一般化することは難しいわけです。
言われてみれば、確かにどの腰痛も同じでは無いでしょうね。友人と私の腰痛では痛み方にも違いがありますから。
腰痛の際の座り方
床に座る場合には、正座、横座り、あぐら、体育座り、割座り(足が矢印のようになる座り方)、片膝立ち座りなどがあります。
このときの腰の状態を考えてみましょう。
あぐら
あぐらは男性では一般的な座り方でしたが、最近ではあぐらが出来る方は少なくなりました。
多くの方が立ち上がるのが辛いと言われます。
座禅のようにお尻の下に何か枕のようなものを置くと骨盤が立って腰が伸びますが、通常は腰が後弯になります。
体育座り
体育座りは後弯になります。
長時間の体育座りは腰が痛くなるでしょう。
腰を伸ばすことはほぼ出来ません。
割座り
正座で足を両脇に崩す姿勢で、若い女性でよく見られる姿勢です。
膝や骨盤に負担をかける姿勢で、骨盤が立って腰が伸びる人もありますが、後弯する人も多くあります。
横座り
正座で両足を片側に崩す座り方です。
女性では圧倒的に多い姿勢です。
必ず側弯ができ、同時に後弯も出来ている方もたくさんあります。
片膝立ち座り
良く韓国の人が食事などでしている姿勢です。
片方の膝を立てて、もう片方は正座のような姿勢になっています。
多くの場合には側弯ができています。
結構いろいろな座り方があるんですね。
腰痛の際に正座は良いのか?
正座はどうなんでしょうか?
正座は、骨盤が立っているときには背筋が伸びて、良い姿勢になります。
着物を着た女性が背筋が伸びた状態で座っておられるのは美しいです。
ですから、背筋を伸ばして正座するというのは良いことです。
ここで重要なことは「背筋を伸ばして」と言う部分です。
逆に背筋を丸くして正座する方もあるのです。
むしろ最近では背筋を伸ばして正座できる人の方が少なくなっています。
それは、最近は歩くことが少なくなり、車や乗り物での移動ばかりになっているからです。
大腰筋は腰椎の前弯には非常に重要な筋肉ですが、歩かないことによって筋肉が弱くなると正座をして腰の前弯を作ることが出来なくなってしまいます。
腰痛が起きているときには、腰の柔軟性がなくなり、関節の機能異常、筋肉のアンバランスが起きています。
痛みがある場合には、歪みを誇張するような姿勢が楽に感じます。
ですから、後弯のある方は後弯にすると、側弯のある方は同じ側に側弯にすると、過前弯の方は過前弯になるような姿勢にすると楽に感じます。
そのため、本来は逆になる必要があるのも関わらず、歪みを誇張するような状態になり、問題を悪くすることになってしまうのです。
ですから、腰の状態によっては正座が必ずしも良いとはいえなくなってしまうのです。
楽な座り方が良いのだと思っていました。
腰痛の際に正座の危険
腰痛の際に正座になるとほとんどの場合に、動こうとすると動き始めが辛くなります。
そのため、ずっと正座のままになってしまわれます。
関節の間にある椎間板は、成人になると血管が通っていないため、栄養が行きにくくなります。
椎間板に栄養を送るには関節を動かしてやることが必要になるのです。
動かなければ関節は老化していって余計に動きが悪くなるのです。
痛みを避けて動かないようにすることが逆に痛みを起こしてしまうことにもなるのです。
正座になって、お年寄りのような正座になってしまうことがあります。
背筋が伸びず、腰を丸くして正座する姿勢です。
この姿勢では腰椎の後弯を誇張するような座り方になるため、ますます腰が伸びなくなって、動き出すときにはとても辛くなってしまいます。
特に危険なのが、コンピューターを座卓において作業をされることです。
腰の位置が高くなるので、その分前屈みになってしまいます。ねこ背になり、腰が丸くなります。
腰を動かすことが無く、丸くして長時間座るという極めて危険な姿勢になります。
コンピューターを座卓で使うのは良い姿勢で使えないので、避ける方が無難です。
短時間だからと思って初めても、結局長時間になってさらに悪化させる方が後を絶ちません。
腰痛の際に正座するときすべきこと
正座使用とするときに大切なことは、痛みをごまかそうとすることでは無く、積極的に改善させようとすることです。
大きく4つのことが必要になります。
神経の流れを整える
問題のあるままにすること無く、神経の流れがスムーズに行くようにしましょう。
そのためにカイロプラクティックで関節の機能異常を取り除くようにしたいものです。
血液を整える
血液の内容を整えるのは食事です。
まず脱水症状にならないようにしましょう。
喉が渇いたらすでに脱水症状を起こしています。
水分補給を十分にしましょう。
動かすこと
血流を整えるためには動きが必要になります。
筋肉を動かさなければ血液の循環は進みません。
体操のような動きが必要です。
関節は動かなければ椎間板に栄養が来ないために不安定を作ります。
そのために周りの筋肉が緊張を起こし、柔軟性がなくなってしまいます。
また、歩くことが無ければ、腰の筋肉のバランスがとれず、弱くなってしまいます。
座るために歩くことが大切になりのです。
姿勢に注意すること
いくら神経の流れを整え、血液を整え、動かすことによって関節に栄養を与えようとしても普段の姿勢が悪ければ、正座を背筋を伸ばして出来るようになりません。
姿勢習慣を改善し、美しい姿勢が出来るようになりたいものです。
Kさんはギックリ腰になって来院。
書道展に出品する作品を書くために長い間書道をしておられました。
仮名文字の大作を書かれるのでどうしても長時間座ったままじっと書き続けられました。
余り良くないなーと思いながら、座卓を使われるので、正座では長時間座れないため、両膝を立ててしゃがむような姿勢で書いておられました。
昼は教室があったり、来客があったりするために、集中して書ける夜になったようです。
どうしても睡眠時間が少なくなって、良くないなーと思っているときにギックリ腰になったそうです。
右足にも症状が出ていて、しびれる感じがあると話されました。
良くジョギングをしたりされますが、最近は忙しかったのでちょっとサボっていたと話されました。
腰椎を見ると側弯と後弯が出来ていて、下肢の筋力も右側が落ちていました。
カイロプラクティックの施術で、柔軟性を回復し、筋肉のバランスを取りました。
側屈と伸展体操をするように勧めました。
正座椅子を勧め、背中を伸ばすように座ることを勧めました。
また、ウォーキングして、背筋を鍛えるようにすることを勧めてされるようになりました。
3回ほど施術すると痛みやしびれは軽減して楽になりました。
予防のために続けて体操をするように勧めました。
長時間変な姿勢で座っていることが危険なことを感じるケースでした。
自分でもいろいろ考えておられましたが、結果的に腰が丸くなり、後弯や側弯ができるようになっておられました。
座り方とともに動かすことの重要さを感じました。
まとめ
正座は良いものという認識がありますが、良い正座をするために必要なことがあります。
自分の身体の癖やパターンを知ることによって、腰自体を改善し、正座が美しい姿勢になるようになってみたいと思いませんか。
カイロプラクティックがそのお役に立てることでしょう。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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