最近心療内科の看板をあちらこちらで見かけるようになりました。
どこのクリニックも忙しいようです。
その一方で、なかなか改善しないと苦しまれる方も多くあります。
精神的なことは、単純に考え方だけが問題というわけではありません。
食べるものが問題だったり、消化吸収が問題だったり、構造的な問題があったり、環境だったりと様々な問題が関わるのです。
ですから、その問題に対応した処置をしていかなければ、解決が難しいのです。
今回はメンタルな問題と肩こりの関係について考えてみたいと思います。
肩こりと精神が関係があるんですか?
30万人の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私がご説明しましょう。
メンタルと内臓の関係
冬になると疲れやすいとかイライラしやすいとか、落ち込みやすいというような症状がある方が増えます。
この原因として冬の日照時間の短さがあります。
セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質です。
このセロトニンは感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関係があります。
セロトニン不足がストレスの障害やうつや睡眠障害と関連があると言われています。
冬の日照時間が減るとこのセロトニンの合成が影響を受けるのです。
セロトニン合成に欠かせないのがトリプトファンです。
これは内臓が吸収してくれなければ、材料がない状態になってしまいます。
もちろん原料となる食品を食べていなければ、トリプトファンがない状態になってしまいます。
いずれにしても単純にトリプトファンを摂取すれば良いというものではないのです。
セロトニンが少なくなれば、精神の安定がなくなるということは確かです。
セロトニンの原料を摂れば良いというものではないんですね。
内臓の働きと肩こりの原因はねこ背にあった!!
内臓の働きと肩こりの原因であるねこ背は非常に密接な関係があります。
自律神経は
脊柱の両脇には自律神経が通っていて、身体の機能をコントロールしています。
自律神経は交感神経という体を戦闘態勢におく神経と、副交感神経という修復や消化などを司る神経で出来ています。
ねこ背の自律神経の状態
ねこ背になるときに脊柱は動きを失い、自律神経のバランスが狂ってしまいます。
そうなるときに交感神経優位になり、戦闘状態に体をおくようになります。
戦闘状態の臓器
血液を脳や心臓や筋肉に送る一方、消化器系の臓器には血液を余り送らないようになります。
そのために消化器系の働きが落ちてしまうのです。
セロトニンが産生できない
セロトニンの原料のトリプトファンを取り込むことが難しくなるとセロトニンが産生できなくなってしまうのです。
その結果として感情や気分のコントロールがうまくいかず、精神的に不安定になってしまうのです。
ねこ背が出来ていると内臓の働きに影響が出て、精神にも影響するのです。
身体を戦闘状態にしていると消化器系が働きが悪くなるんですね。確かにストレスがあると胃腸の調子悪くなりますね。
メンタルな問題へのアプローチ
一般的に精神的な問題があるときには、血液検査ではなく、質問票や問診によって、それぞれの診断に関していくつの症状を持っているかを確認して診断が決まります。
どちらかというと客観的に診断がつくものではなく、主観的な部分があります。
診断がつくと薬かカウンセリングによって対応されることがほとんどです。
しかし、これまで説明してきたようなケースでは対応が難しいのです。
簡単に言うと脊柱の問題から自律神経のアンバランスが起こり、精神的なトラブルにつながっているのです。
原因は脊柱の問題です。
これを取り除くことが重要になってくるのです。
しかし難しいのは精神科では消化器系の問題を考えることは少なく、消化器系では精神科や心療内科の問題を考えることは少ないのです。
精神の問題も消化器系の問題も一緒に診てくださる先生がおられると良いと思います。
肩こりからくるメンタルの問題の難しさ
ねこ背が肩こりの原因
ほとんどの方がメンタルの問題が、肩こりの原因であるねこ背から来るなどとは考えられません。
ねこ背が自律神経に大きな影響を持っているとも考えられないのです。
そのために、精神的な問題は問題として、ほかの科と共同した全体的なアプローチがなされないのです。
使われる薬
落ち込んでいるのであれば、向精神薬、眠れなければ、睡眠薬や睡眠導入剤、不安定になっているのであれば精神安定剤などが使われます。
このような薬の重要性を否定するものではありません。
構造の問題に薬は有効でない
しかし、構造的な問題に対して化学的なアプローチでは改善は難しいのです。神経の流れを整えて、自律神経のバランスがとれることがこの場合には必要なのです。
薬で構造的な問題から来るものは解決できないということですね。
そうですね。元々の原因を解決しないと一時的に薬でバランスを取ってもまた問題が表面化してきます。
肩こりからメンタルを改善するには
肩こりの原因であるねこ背を改善するためには構造的なアプローチが必要になります。
具体的にいえばねこ背を改善することが必要なのです。
自分で姿勢を正そうと思って出来る場合には体操やストレッチも効果的です。
しかし、姿勢を自分で正すことが出来ず、姿勢化しているような場合には、難しいです。
精神的な問題を持っている方は特に姿勢を変えることが難しくなっています。
そんな時にカイロプラクティックが役立つのです。
カイロプラクティックは関節の機能異常であるサブラクセーションを取り除くことが出来ます。サブラクセーションを取り除くと神経の流れが整い、自律神経のバランスが改善するのです。
リラックスして夜眠れるようになり、内臓の不調も改善していきます。
内臓がきちんと消化吸収を出来るようになってくると必要な材料が取り込めるようになります。その結果として精神の安定を図ることが出来るようになってくるのです。
もちろん原料である鶏肉や魚、バナナやアーモンドなどが摂れていることが前提になりますが。
26才大学院学生Tさんのケース
Tさんは大学院でピアノを学んでおられました。
長い時間ピアノの練習されるので、背中や肩がとてもこっていました。
卒業を意識するような時期になって、就職のためにオーディションを受け続けておられました。
ピアノの専門家ばかりが集まるオーディションは厳しくてなかなか合格しませんでした。
食事が食べられなくなって、下痢をするようになりました。
元気も出なくなって、入院をされました。
3週間で改善するだろうといわれていましたが、抗生物質を点滴されると余計に体調が悪くなりました。
生理的食塩水を点滴してもらわれると元気になったと言われました。
3週間が終わることには歩けなくなってしまいました。
お金が続かないと退院されて通院にしてもらわれましたが、症状が一向に改善しませんでした。
辛くなると仕事中のご主人に電話がかかってくるので、ご主人もいつ電話がかかってくるかと不安で落ち込むようになってしまわれました。
友人に聞かれて来院されました。
最初に来られたときには力がなく車椅子でした。表情はなく、顔色も悪かったです。脊柱はねこ背があり、背骨の中央に頂点が来る用になっていました。柔軟性もなく、筋肉は首も背中も硬く、頂点の部分には強い圧痛がありました。
カイロプラクティックの施術で柔軟性をつけました。
2回目の施術の時には車椅子ではなくご自分で歩いて来院されました。
1度目の施術の後、食事しても下痢しなくなったと話されました。
3回目の施術の時には満面の笑みで来院され、顔色もピンク色でした。
オーディションに受からないのが続いたので、ストレスがすごく強かったと話されました。
気持ちも落ち込むようになって、本当に危なかったと話してくださいました。
肩こりのねこ背が悪化して非常に強いねこ背ができていました。
ストレスによって自律神経のバランスが狂い、内臓の調子も悪くなり、精神的にストレスを処理できなくなっていたのでしょう。
そのままいっていればご主人もともに大変なことでした。身体は心にも影響を持ち心は身体にも影響を持つというのを改めて教えていただいたように思います。
まとめ
肩こりの原因であるねこ背を克服することは内臓にも大きな影響を持ちます。
内臓の不調があれば精神的にも元気がなくなってしまうこともあるのです。
精神的な問題があるときに脊柱の状態を整えることは何よりも大切なことの一つといえるでしょう。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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