エアロビックとアネロビックの誤解
多くのアスリートがエアロビックとアネロビックという言葉をよく会話の中で使われますが、この二つの言葉の本当の意味を解かっておられない場合がほとんどです。
大概、エアロビックは酸素を使う長距離走での呼吸のパターンであり、ゆっくりとした運動を意味していると考えておられます。
アネロビックについては、酸素のない状態、例えば険しい丘を登ったり、呼吸が極めて苦しい状態になった時を意味していると考えておられます。
ここに書いた定義は実際を余り表していません。
この定義は、微生物学者によって作られたものだからです。
生きるために酸素を必要とし、酸素がなければ生存する事ができない微生物をエアロビック(有酸素)と名付けました。
また、酸素があると生存出来ないものをアネロビックと名付けました。
これらの名称は微生物にとっては適切な用語です。
しかし、アスリートに当てはめるのはとても難しいことです。酸素は人間の活動には不可欠なものです。
よくトレーニングをしたアスリートでさえも全く酸素の無い状態を数分も続ける事は出来ないでしょう。
つまり、エアロビックとアネロビックに関して、実験室の定義は人間には当てはまらないのです。
二つの運動パターン
アスリートにとってこれらの二つの運動のパターンの説明することにより指導が出来、とても大切です。
エアロビック・トレーニングとアネロビック・トレーニングで最も大きな違いは、それぞれの運動によって使う燃料が異なっているという事です。
エアロビック・トレーニングは多くの部分でエネルギー源として脂肪(脂肪酸)を使用し、アネロビック・トレーニングは糖質(ぶどう糖)をエネルギー源として用いています。
その結果、実質的にこれを定義すれば、エアロビックは体が脂肪を燃やす状態で、アネロビックは糖質が燃やされる状態といえます。
糖質を燃やしている時、脂肪をあまり燃やしていない事を知っているのは重要です。
そのため体は脂肪を蓄積します。
筋肉の分類
一般的にエアロビックの過程では遅筋線維に依存しています。
健康に重要な影響を持っています。
エアロビックは身体の血液循環を改善します。
また体が脂肪やホルモンを制御するのを助け、身体的な持久力を高めます。
アネロビックは、速筋線維を多く使う強度の高い活動や競技等をする時の過程です。
エアロビックとアネロビックを決定する
そこで明らかにしたいのは、どのようにしてトレーニングをエアロビックかアネロビックか決定する事です。
それは簡単です。
ハートレートモニターで脈をチェックするとわかります。
他の体の機能によって、アスリートの心拍数は変化します。
トレーニングの間、脈が上がるに従って酸素摂取量も並行して増加していきます。
また呼吸数、乳酸値、老廃物の量も増加していきます。
快適なエアロビックのペースでバイクに乗ったり走ったりしているとき、心拍数は比較的低いレベルに留まっているでしょう。
この軽い運動モードでは、体のエネルギーを脂肪から求めています。
しかし、トレーニングの後半になると一生懸命、精一杯の努力をするように変わります。
ピッチが段々早くなっていくと心拍数も上がり始め、その結果としてより多くの燃料が必要となります。
体がもうこれ以上脂肪からエネルギーを得る事ができないという状態になった時、燃料源は糖質へと移っていきます。
(体は脂肪を変換するよりも早く糖質をエネルギーに変換する事ができるから。)
この点を越えると体は、アネロビック的に機能するようになります。
認識の難しさ
多くのアスリートにとって、それがどんなスポーツであれ、自分の体がアネロビックの状態にある事を認識するのはとても困難な事です。
そして、その境を越えると、エアロビックの状態に再び戻るのは極めて難しくなります。
それはアネロビックの活動によって産生される乳酸が増加し、体のエアロビック機能を抑制するようになるからです。
だから、たとえ軽いアネロビック状態であったとしても、一旦そのような状態になると、エアロビックから受ける恩恵を受けるのは極めて難しくなるのです。
従って、どのようなトレーニング計画でトレーニングをするかによって、体がアネロビックになるかエアロビックになるかを決めているという事実を見過ごさないようにしましょう。
そしてこのようなコンディションの影響はトレーニングの間ずっと続き、更に複雑な生化学的な過程をへて、長い場合48時間後までその影響を及ぼすようになります。
これらすべての情報を頭に入れたとしても、怪我や病気をコンスタントに患っているアスリートは、恐らくアネロビック・トレーニングに時間を費やし過ぎていることでしょう。
まとめ
エアロビックとアネロビックの状態のバランスをとることは、ハートレートモニターを使うことによって達成できます。
しかし、この運動の為の道具を最大限に用いるためには、自分の心拍数のレベルを確立しなければなりません。それがいかに大切かを知ることが大切
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
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