人は自分の体はわかっているようで、わかっていません。
特に背中は自分で見ることが出来ないので、余計そうです。
腰の部分の背中を自分の手で触ってみると背中の真ん中には背骨があります。
前屈するとその骨が触りますが、普通の姿勢や少しそらせると骨は余り触れません。
これが普通の姿勢でも触れるようになっている、あるいは痛みを感じる、敏感になっているというときには何か問題があることを意味しています。
臨床をしていると患者さんが自分で腰椎を触ってみてこれは異常だと思って心配になってこられることはたくさんあります。
それがどんな意味があるのか、今回は腰椎が痛いと感じるときについて考えてみたいと思います。
背骨を触ると痛みを感じるのは余り良いサインでないですよね。
30万人の施術実績のある中塚カイロプラクティック研究所代表の私が説明しましょう。
腰椎が痛い
腰椎が痛いと感じるときはそうしょっちゅうあるわけではありません。
しかし、そう感じられるときにはなんか問題があると考えて慌てられることが多くあります。
実際、「ここの骨は何か変形しているのではありませんか?」
「すごく飛び出しているんですけど大丈夫でしょうか」と不安そうにお見えになる患者さんもおられます。
正常か異常かを見極めることはそう難しいことではありません。
正常を知っていれば異常はわかります。
しかし患者さんは痛みを感じるとなおさら不安です。
骨が痛いと感じられるには感じられる理由があるのです。
腰椎に痛みを感じたり、敏感になっていたら、余りひどくないからといってそのままにしないで、原因を突き止めることが大切です。
もしかしたらすぐに対処すべき問題があるかも知れないのですから。
腰椎が痛いときのメカニズム
よく見られる腰椎の痛みは二つあります。
一つは腰椎の変位。
位置が異常を起こしている場合です。
もう一つは内臓の反射です。
骨自体は痛みを出しません。
痛みを伝える神経繊維が分布していないからです。
しかし、皮膚や筋肉には神経繊維が分布していますから、触って痛みがあるときには皮膚や筋肉が引っ張られるために痛みが出ています。
関節が歪むときには特定の筋肉が引っ張られますから、引っ張られて本来有るべきところで無いところに骨がある場合には引っ張られた組織が痛みを出します。
その部位を押すと痛みを感じます。骨が歪んでいるときには特定の痛みのパターンを持っています。
前方や後方に腰椎が変位を起こしていると背骨の真ん中に痛みが出ます。
腰椎が回旋変位を起こしている場合には背骨の中心から少し右か左に痛みが出ます。
また反射で痛みが出る場合もあります。
自律神経の反射の内臓—体性反射などの場合でも腰椎に痛みが出る場合があります。
この反射は内臓が不調でその反射として関連のある脊骨に痛みを出してきます。
背骨が敏感になっている箇所があれば、内臓も機能が落ちていたり問題がある可能性があります。
内臓が悪くても背骨が敏感になるんですね。
腰椎が痛いときの危険
腰椎が痛いときに時には筋骨格系の痛みでなかったり、内臓の不調からの反射でなかったりすることもあります。
圧迫骨折や炎症性の脊椎の病気や脊椎への転移なども同じように痛みを感じます。
しかしこの痛みも人によって激痛からそれほどでもない痛みまで様々です。
ですから、痛みの程度から判断することは危険です。
2年続けて同じような痛みが出ているとお見えになった方が、一年目は普通のぎっくり腰、2年目は圧迫骨折だったということもありました。
触らなくても痛むとかじっとしていても痛くて楽な姿勢が見つからないというようなときには必ず、医療機関を受診するべきです。
痛みがどうして出ているかわからないというような場合にも安易に判断しないことが大切です。寝ていたのに痛みが出てきたなどということは通常は考えにくいことです。
通常、痛みが出るとひどい痛みでなければ、皆さんが軽く考えられます。
しかし、理屈にかなわない痛み、つまりそんなことで痛みが出ないような原因で痛みが出たり、楽な姿勢を取ることが出来なければ軽く考えてはいけない痛みだと考えるべきです。
発熱を伴っていたり、体の不調も同時にあるようであれば要注意です。
痛みだけで性質を判断することは難しいですね。おかしな痛みがあるときは医療機関で見てもらわれることをお勧めします。
腰椎が痛むときにカイロプラクティックが効果的
腰椎が痛むときには多くの場合には筋骨格系の問題か内臓の不調です。
そういう場合には、関節の分析の出来る人が必要です。
筋肉骨格系の問題なのか、内臓の不調なのかを識別することが必要です。
この分析は誰でも出来るというわけではないのです。
例え解剖学を知っていても、動きについてもわかるというわけではありませんから、分析は別物です。
関節の配列を見たり、関節の動きを見たり、その部位からの神経支配のある筋肉をチェックしてみることが、関節を分析してみる時に必要です。
これが出来るのは国際基準のカイロプラクターです。
国際基準のカイロプラクターは解剖学・生理学・生体力学に通じていて、関節の分析をするスペシャリストといってもいいでしょう。
腰椎が敏感になっていたり、痛みがある場合にはカイロプラクターに見てもらうことがよい理由です。
41才男性大工Mさんのケース
Mさんは腰椎が後に飛び出ていると言って来院されました。
腰痛になって病院で見てもらわれたが、特に異常が無いといわれました。
でも腰が異常に後に飛び出しているように思ってなんとかしたいと思われました。
Mさんは腰が伸びず、お年寄りのような格好で入ってこられました。
家ではいつもあぐらでテレビを見ているといわれました。
仕事柄中腰も多く、すごく忙しかったのが一段落ついて少しほっとしたところ腰が痛くなりました。
もともとよくぎっくり腰をしていて、朝は大抵、1時間くらい固まったようになっていると話されました。
車もシートをかなり倒して運転するのが習慣になっていました。
検査をするために腰を伸ばそうとしても痛みと抵抗があって伸ばすことが難しかったです。痛みはいつも腰全体にありました。
天気がとてもわかるぐらい、雨の前には調子が悪くなっていたそうです。
筋肉のアンバランスがあちこちに出来ていました。
確かに腰椎の5番目は後にはっきりと触ることが出来るようになっていましたが、長年のあぐら姿勢のために体型化しているものでした。
棘突起の先端がとても敏感になっていました。
長く寝ると余計腰が痛くなるので長く寝ないようにしていると5〜6時間しか寝ておられませんでした。
カイロプラクティックの施術で体を反らすことが出来るようにし、姿勢のアドバイスをしました。
車のシートを起こし、テレビはソファーや床ではなく椅子で見るよう勧め、睡眠時間をちゃんと取るように勧めました。
腰の柔軟性をつける体操をお教えすると一生懸命されました。
3週間もすると飛び出た腰椎のように見えていた所はなくなり、背中の柔軟性も回復してきました。
続けて体操をするようにお勧めした。
Mさんはまだ若くてもお年寄りのような姿勢になっておられました。
長い間の不良姿勢が腰の前弯を無くし、体型化していました。
ご自分一人で改善しようと思っても難しい状態になっておられました。
このような場合には薬やマッサージでは全く改善しません。
レントゲンで写してもらっても、ポジションを整えて撮ると立位でおられるときの状態がわからなくなります。
カイロプラクティックがとても役に立つと考えられるケースでした。
まとめ
腰椎が痛むときには何らかの問題が起こっています。
たとえ我慢ができても原因を探る必要があるでしょう。
そんな時にはカイロプラクターが関節の分析をしてくれることでしょう。
現在痛みがないあなたも自分の背骨がどのようになっている分析してもらわれてはいかがでしょうか。
鳥取県米子に1973年に創業した、国際基準カイロプラクティックを行う「中塚カイロプラクティック」院長。慶応義塾大学にて社会心理学を学び、後に米国ナショナル・カイロプラクティック大学大学院(現NUHS)に留学しDoctor of Chiropracticとなる。国際スポーツカイロプラクティックドクターのディプロマも取得し、アスリートのパフォーマンス向上のための技術や知識を豊富に有しています。
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会元会長、
コメント